自分の知見を活かしたいと入社を決意

2011-05-02

凸版印刷では、研究開発の核として、1972年に中央研究所を開設。1986年には、埼玉県北葛飾郡杉戸町に総合研究所が竣工された。総合研究所は、同社の技術開発の中核を担っており、新商品・新技術の開発、コストダウン・品質保証機器の開発、さらにこれらを支える基盤技術など、日夜、多岐にわたる研究開発を推進している。今回、同社の若手研究員として話をうかがったのは、松原亮平さんである。大学時代には、高分子化学を専攻していたそうである。松原さんが凸版印刷に入社したのは、2003年のこと。大学の先輩が同社に入社しており、その話を聞いたのが、志望のきっかけだった。「最初は、印刷だけを手がけている会社だと思っていましたが、凸版印刷に入社した先輩たちがエレクトロニクス関係の仕事に就いていて、自分なりに調べてみると、印刷会社とはいっても、幅広い事業を展開していることが分かりました。そこで、何か自分の知見が活かせるような、面白い仕事ができるのではないかと思い、凸版印刷に入社したんです」松原さんは入社以来、同社の総合研究所次世代商品研究所に所属している。現在手がけているテーマは、フレキシブルTFT(薄膜トランジスタ)の開発である。簡単にいえば、印刷手法を使って、TFTをフレキシブルな基板の上に作製するということであるという。TFTとは、液晶ディスプレイの表示方式の一種で、画素の1つ1つのオンーオフを制御するので、それぞれを確実に点灯させることができ、画面がクリアで応答速度が高い。ノートパソコンの画面などに用いられている液晶画面には、通常2枚のガラス基板が用いられている。液晶画面の1つ1つの画素には、TFTのスイッチが付いている。これは、ガラスの上に薄い金属の膜を付けて、フォトリングラフィでパターンを作っていくことによって作製していくのである。プラスチック基材のフレキシブルTFTは、ガラス基板のものに比べて、薄く軽量で壊れにくく、曲げることが可能である。こうした特性を活かして、フレキシブルな次世代ディスプレイが可能になるという。フレキシブルTFTは、電子看板やポスター、携帯機器などへの利用が期待されている。同社は2008年1月に、高精細の電子ペーパーを駆動できる有機TFTをソニーと共同開発した。ペースとなるフィルムに、有機化合物や電極材料を印刷して回路を形成したものである。「A4サイズの基板で、曲がるTFTの開発に成功しました。TFTを構成する電極、絶縁材料、半導体のすべてを印刷で作ったのは、私たちが初めてということになります」

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