受験の一年半前、幼稚園の年中組にあがった四月からは、おけいこが週一回、三時間になり、課題の難度もあがって、それまでやさしくほめてばかりだった先生が、急に厳しくこわくなった。「それまでは机の前にじっと座るというよりも、からだを動かす遊び的な要素が多かったんですが、年中さんにあがったとたんに、もう遊びではなくなりました。これは真剣な『お勉強』なんだと、親も子も思い知らされました。まず最初に出された宿題が、レポート用紙の罫線の間にまっすぐに線を引いてくるというもので、一日に一枚ずつやらせてくださいと先生に言われました。そのころ息子はまだ四歳で、四歳の男の子を机の前に座らせて、毎日十五分間ずつまっすぐに線を引かせるという忍耐と集中力を要する作業をやらせるのは至難の業なんですよ。先ほども言ったように、いやだと思ったらガンとしてやらない子でしょ。なだめすかし、ときにはつい手をあげたりしながら、せっせとやらせました」
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