矢継ぎ早の合理化策とは裏腹に、なかなかシナリオ通りに業績が回復しない。93年8月期も前期に続いて経常赤字になる公算が強まった93年5月、その責任を取って突然、社長が辞任、相談役に退いた。そして、当事専務だった人が社長に昇格。「まず現場第一主義、原点に戻らなくてはならない」と繰り返し強調するが、決して見通しは明るくない。日本のアパレルメーカーは80年代の消費拡大、高付加価値化の上げ潮に乗って黄金時代を築いてきた。しかし、経営的側面から見るとバブルの美酒に酔って経営合理化、技術革新を怠ってきた点は否定できない。急成長のなかではこれらが覆い隠されてきた。しかし、消費の冷え込みで、こうした咎が一気に吹き出て来ている。組織改革のほかにも、百貨店の店頭に派遣している販売員を中心とした人員削減などによって合理化を急ぐアパレルメーカーがここにきて急速に増えているが、これらはまだ対症療法の域を出ておらず、企業体質と意識の転換まで含む新たな「身体作り」が不可欠になっている。