1984年、85年ごろからのドル/円のチャートを眺めると、85年から88年あたりで大きく下落し、88年以降は、現在に至るまで、周期的な上下動を繰り返していることがわかります。そして、その上下動の振幅が徐々にせばまり、振れ幅が、小さくなっていることもわかります。もちろん、相場は何か起こるかわからないのですから、徐々に小さくなっていた振れ幅が、突如として、狂ったように大きく動き出す可能性は、常にあります。しかし、過去の値動きを、チャートで素直に眺めれば、ドル/円の値動きは、確実に、おとなしく、静かになっていることは事実なのです。値動きが、おとなしくなっていることは、「ボラティリティ」の低下傾向からも理解できることです。相場の動きを測る言葉に「ボラティリティ」があります。ボラティリティの本来の意味は、「揮発性」です。それを相場の専門用語に転用して、「価格の変動性」「価格の変動率」を表します。「これから、相場が大きく動きそうだ」と考える市場参加者が増えると、ボラティリティは上がり(大きくなり)ます。逆に、「これから、相場の変動が小さくなりそうだ」と考える市場参加者が増えると、ボラティリティは下がり(小さくなり)ます。ボラティリティはパーセント(%)で表示され、為替オプション市場では、ボラティリティそのものが売買されています。オプション市場では、“ボラ”と略称することもあります。このところのドル/円取引では、“ボラ”が低下傾向でした。2006年の前半から年央までは、ドル金利の引き上げが実施されて、日米金利差の拡大を材料に、ドル/円相場も相応に動いていました。しかし、2006年の後半になると、米国の景気拡大に一服感が出て、ドル金利は据え置きが繰り返されています。「目先、ドル金利は動かない」と考える市場参加者が増えたことが、ドル/円ボラティリティが低下した理由の1つでしょう。