私は小さいときから絵を描くことが好きでした。小学生の頃には絵の具でよく水彩画を描いたものです。よく使っていた色は白。光の当たる感じ、光り輝く感じ、こうしたものを表現するのによく白を用いていました。ですから、すぐに白い絵の具がなくなってしまう。でも子ども心に、そうしょっちゅう「買ってほしい」とお願いするのも気がひけて、自分で白を作ってみようと思い立ったのです。黒は簡単に作れますが、果たして白は作れるのか。そう思って担任の先生に聞いてみたら「作れる」と教えてもらい、色を混ぜて挑戦してみました。どんな色を混ぜ合わせたのかは今となっては定かでありませんが、グリーンがかった白、赤が少し残る白など、紛れもなく白が作れたのです。混ぜ合わせてできた白は、純粋な白ではないけれど、奥行きがあって、コクがあってとてもきれいな色でした。木漏れ日を描くときはグリーン味の強い白を使ったり、夕方の風景を描きたいときは赤味のある白を使ったりして楽しんだことを覚えています。SUQQUで揃えている色は、すべて自然界からヒントを得た色ばかりです。自然の中に存在する色は、どれもが奥深く、同じ色でも色調に微妙な違いがある。その色の世界を、ぜひ再現したいと思い続けてきました。自然界の色に惹かれる理由は、色の深みやコクがあるからです。そこがとても美しいと感じます。自然界の色を再現したカラーバリエーションにしたかったのも、混ぜ合わせた色のコクの美しさを小さいときから知っていたからかもしれません。だから色にはとてもこだわりがあります。色の調合もすべて自分で行います。食を断って、音も断って、静寂の中、精神と感覚を研ぎ澄ませていろいろな色を加え混ぜていく。混ぜ合わせる色の数は七色、八色、ときには一〇色にもなります。萌山吹、夕日茜、蜜柑茶、日向砂、空木、金魚草など、現在SUQQUに並ぶ色の数々は、自然の中に潜む、コクと深みに満ちた色を再現したい、その一心から生み出されてきた色、私自身の思いが込められたもの。だから、とても愛しいのです。