要因は、NIMBY(NotInMyBackYard)と呼ばれる、施設周辺の住民の反対運動である。NIMBYとは、その名のとおり、「他の地域のごみを自分の家の裏庭で処理するのは許さない」という意味で、これは日本でしばしば使われてきた「自区内処理原則」(自分のごみは自分の地域内で処理せよ)というのに近い表現である。アメリカは日本の二十数倍もの国土に恵まれているが、それでいて廃棄物の処理施設の用地確保に悩まされているのは、自治体の財政事情を別にすれば、NIMBYによる反対のためであると言っても過言ではないだろう。げんにニューヨーク市においても、スタッテン島にある既存の埋め立て地は二〇〇一年七月をもって完全閉鎖となったが、これも近隣の住民の反対運動によるものである。こうした状況はヨーロッパ諸国でも、さらには、アメリカと同じく広大な国土を有するオーストラリアでも見られ、今やNIMBYは世界的な用語にすらなっている。このように世界各国の都市でごみ処理施設の使用の継続や新設が困難に陥っている事例が散見されるが、だとすると、これらの自治体はいかにしてこの危機に対処しているのだろうか。前掲のワシントン・ポストの記事に戻ると、アメリカでは、収集したごみを少々離れた所にある民間の処分地に持ち込んでいる都市が少なくない。そしてもう一つの方法が、リサイクルとごみ減量の努力である。