「もしひっきりなしに情報が入りつづけるばかりだと、整理整頓が追いつかず、情報はあちこちに乱雑に積み上げられたままで、分類や体系化ができなくなる。引っ越し荷物の整理に似てるね。脳の情報処理作業がうまく進まなければ、当然、理解や記憶効率も悪くなってしまう。六日続けて一日休むのはその整理期間、もしくは、分類した情報をしまい込む部屋の建設期間を確保するためなんだ」「平日にいっぱい情報収集して、日曜日にそれを整理するようなものですね」彼のたとえのほうがわかりやすいようだ。「詰め込むだけではなく、浸透させる時間を設ける。それによって、言語をつかさどる脳のある部分にその外国語専用の部屋がつくられ、頭の中で外国語がしだいに体系化されていくということですね」「そのとおり。その医学書でも、そんな表現を使っていたね。もともと生まれたばかりの人間の脳は柔軟で、言語をつかさどる部分の間口も広いらしい。ところがある程度年をとると、母国語がその大部分を占めてしまうようになる。それで、年を重ねるほど外国語の習得能力は落ちる。逆に、若いほどその能力は高く、多くの言語の習得も年配の人ほど苦労はしないというわけだ」